生前にできる相続の準備をしておきたい

 2010年に流行語大賞にノミネートされ、最近はすっかり定着した感のある「終活」というキーワード。とはいっても、いざ「終活」に取り組もうと思ったけれど、いったい何をしたらいいのかよくわからなくて諦めてしまった・・・といった経験はありませんか?

 また、家族が亡くなった後、遺産分割の内容について相続人間で大きな揉め事に発展してしまうという「争族」という言葉もよく耳にして気になっている方も多いのではないでしょうか。「自分の亡き後に家族で揉めたりしてほしくない・・・。でもいったい何をどう準備したらよいのだろう?」と漠然とお考えの方もいらっしゃるかと思います。

  • 終活はどこから手を付けたらいいの?
  • 争族を避けるためにはどうしたらいいの?
  • 遺言は何をどう書けばいいの?
  • 生前贈与とは
  • 民事信託(家族信託)とはどういう制度?
 「終活」「エンディングノート」「争族」など、人生の締めくくりと次の世代への承継に関するキーワードを耳にすることが多くなりました。

 「終活」について「気にはなっているけれど、いったい何から手を付けていいのやら・・・」というお話をよくうかがいます。じっくりと人生を見つめ直し、時には家族など周りの方の意見にも耳を傾けながらゆっくりと時間をかけて準備をされるのがよろしいのではないでしょうか。

終活の始め方

 「終活」を始める、といってもいったい何から始めたらいいのでしょう?本や雑誌、インターネットなどには終活の情報が溢れています。遺言などの相続財産に関すること、持ち物の整理、延命治療や臓器提供についての意思表示、認知症対策、お墓や葬儀の準備・・・などなど。いざ始めてみようとすると、いったいどこからどうやっていけばいいのかわからなくなってしまい結局手をつけずにいる、なんてこともあるかもしれません。

 ではまずはどこから始めたらいいのでしょう?手前味噌になってしまいますが、ひとつの方法は終活の最初のきっかけとして法律事務の専門家に相談してみることではないでしょうか。終活と切っても切り離せないもののひとつが高齢になってからの財産の管理と相続に向けての備えです。その点、法律事務の専門家は遺言や生前贈与などの相続対策や実際に相続が起こってからの手続きに詳しく、また成年後見や後述する民事信託などの認知症対策にも通じているため、終活の重要な位置を占める財産の管理や承継について全般的に相談に乗ることができます。

 また、財産のことについて相談したり考えたりすることをきっかけに、そのほかのことにも話が及んだり、家族の間で話し合う機会が生まれたり、考えがまとまっていったりするということもあるのではないでしょうか。

「争族」はなぜ起こる?

 相続での争いを揶揄して使われる「争族」という言葉。他人事のように使われることも多いですが、いざ当事者となるとこれに巻き込まれてしまうことも少なくありません。しかもそんなに仲が悪かった家族というわけでもないのに揉めてしまっているという話もよく耳にします。なぜ家族なのに揉めてしまうのでしょうか?

 揉めてしまう原因は様々ですが、家族ひとりひとりの置かれている状況が違ったり、家庭や仕事を通じて形成された価値観がそれぞれ以前とは異なったりすることでのすれ違いが少しでもあると、家族や親族という近しい間柄であるが故にかえって大きな溝のように感じられ感情的な確執に発展していってしまう・・・という傾向が見受けられるように感じます。

争族を避けるためには

 それではそういった争いを避けるための方法はあるのでしょうか?

 財産を遺す側が事前に準備できることとして、遺言や生前贈与、民事信託などを利用してご自身の財産の承継方法を定め、未然に余計な揉め事が起こることを防ぐことで相続手続きをスムーズにし、相続人の負担を減らすことが可能です。

 そのためには相続人へ遺す財産の全体像を把握し、ご自身の意向をよく考えてまとめ、できれば財産を受け取る相続人全員の希望や思いを汲み上げて、財産承継の内容やその方法を決めていくほうがよろしいかと思います。手続がスムーズにできるからといって相続人に遺恨を残すような財産の承継はせっかく準備しても後々のご家族やご親族の幸せにはつながりませんし、話し合いの中で見えてきたり気づいたりすることもあるかと思います。ですので、一人で考えるよりもみなさんでお話し合いされることをお勧めいたしますが、状況によって人それぞれではありますので、どうしたらいいか迷われる場合はまずは専門家に相談してみるとよいでしょう。

遺言は何をどう書けばいいの?

 遺言には主に以下の3つの方式があります。

  • 自筆証書遺言(その名の通り自筆で書く遺言。自宅などに保管)
  • 公正証書遺言(公証役場で公証人が作成し公証役場に保管される)
  • 秘密証書遺言(公証役場で公証人に遺言の存在を証明してもらい自宅などで保管する)

 それぞれメリットとデメリットがありますが、一般的には自筆証書遺言か公正証書遺言が選択されることがほとんどです。

 相続が開始したときに有効な遺言として認められるためには、それぞれ法律で定められた形式に則った形で作成されていることが求められます。たとえば自筆証書遺言は遺言の内容、日付、名前を自筆で書き、押印しなければなりませんが、誰にも知られずに作成することができるため誰のチェックも受けないことになり、いざ相続が始まってみると要件を満たしていなくて遺言の内容通りに財産を承継することができない・・・ということがありますのでご注意ください。

 遺言書に書く内容は自由ですが、主に以下のような財産の承継方法を記載します。

  • 自宅の土地建物をAさんに、預金をBさんに承継させる。
  • 全財産をAさんに承継させる。
  • 全財産をAさんBさんCさんにそれぞれ3分の1ずつ承継させる。

 遺言によって財産を承継した相続人は遺言書を法務局や金融機関などに提示することによって遺言書の内容通りの手続きを行うことができますので、遺産分割協議を行うのに比べて相続手続きをスムーズに行うことが可能です。

生前贈与について

 年間110万円(不動産の持分でも可)までの贈与に対しては相続税がかかりません。また夫婦間の居住用不動産の贈与で一定の要件を満たす場合には最高2000万円の配偶者控除を受けることができるなど、生前贈与はうまく利用することができれば財産の承継に非常に有効です。非課税枠があるといっても全てその枠の中で贈与していくのがよいとは限りませんので、税理士さんにご相談されることをお勧めいたします。ご希望がありましたら弊所で信頼できる税理士さんをご紹介することも可能です。

民事信託(家族信託)とは

 不動産や現金などの財産の管理を家族などの信頼できる方に託し、託した財産の承継先も生前に決めておくことができる、財産管理と遺言的な機能を併せ持ったような比較的新しい制度です。財産管理や承継の方法についての自由度が高いためこれまでの方法では実現できなかったようなことが可能になり、場合によっては大変効果的に利用することができます。民事信託は、財産を託す側(委託者)と託される側(受託者)の契約によって効力が発生しその契約の効力が長期に及ぶことも多いため、両者がその契約内容をよく理解しておくことが大切で、設計には時間をかけてじっくり取り組む必要があります。弊所代表は民事信託士の資格を持ち、正しい信託の普及のため日々研鑽に励んでおります。また、一般社団法人「民事信託推進センター」のマンション支援信託推進委員会の委員を務め、特別な知識を要するマンションの信託に関する研究、実践にも取り組んでおります。

相続の準備は司法書士にご相談を

 いざ相続の準備を始めようとしても、家族構成や財産の状況は人それぞれ。どこから手を付けていったらよいのかわからず、考えているだけになってしまっている方も多くいらっしゃると思います。そのきっかけとしてまずは司法書士に相談してみませんか?自分の財産の状況を把握する、例えば自宅の登記簿を一緒に確認しながらご相談をスタートし、面談を重ねて相続の準備を進めていく、ということも可能です。もちろん、ある程度ご意向がはっきりしている段階でご相談いただいても構いません。法的な要件をチェックして整え、必要があればアドバイスさせていただきながら手続きを円滑に進めるサポートをいたします。

料金

自筆証書遺言の作成 6万6,000円(税込)~
公正証書遺言の作成 13万2,000円(税込)~
民事信託 約60万円(税込)~
相談のみ、または継続相談 5,500円/30分

※別途、登録免許税・公証人手数料・収入印紙・通信費等の実費がかかります。

ご相談の流れ

1. ご予約 ご予約フォームまたはお電話にてご予約ください。
2. ご相談 当事務所またはご希望の場所にてお話をおうかがいいたします。
3. お見積り ご相談の内容を受けておおまかな費用をお伝えいたします。
(ご希望の場合は詳しいお見積りを作成いたします。)
4. 必要書類の作成 申請に必要な書類を作成いたします。
5. ご署名ご捺印 遺産分割協議書や委任状などへのご署名ご捺印をお願いいたします。
6. お支払い 費用のお支払いをお願いいたします。(現金またはお振込み)
7. 手続き 必要な手続きをいたします。
8. 手続き完了  

ご相談の際にご用意いただくもの

 ご相談の際には以下の書類があるとお話がスムーズに進められますが、手元にない場合は無理に集めていただかなくても構いません。

  • 不動産の権利関係書類(封筒やファイルなどにいろいろな書類が入った状態で構いません)
  • 固定資産税の納付書
  • 預金や株式、保険など財産の内容がわかるもの

 ご持参いただく書類についてご不明な点がありましたら、ご予約の際にお気軽にお尋ねください。

まずはご相談ください

 相続の準備にはじっくりと時間をかけて取り組まれることをお勧めします。具体的には何も決まっていないけれどもまずは相談、といった感じでも構いませんので、お気軽に当事務所にご連絡ください。また、ご病気などのご事情により急いで遺言を残したい、などの場合にはその旨お知らせいただけましたら迅速にご対応いたしますので、ご遠慮なくお申し出ください。

 初回相談は無料です。事前にご予約いただけましたら、土日祝日や平日の遅い時間でもご対応いたします。

ご相談の予約やお問い合わせ
  • 初回相談は無料です、お気軽にお問い合わせください。
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