公正証書遺言の作り方

「遺言」には

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

・秘密証書遺言

の3つの種類がありますが、それぞれどういった形式で作ればいいのか、どのような特徴があるのか、それぞれのタイプがどういった場合に適しているのか、などなどいざ書いてみようとするとちょっとよくわからない・・・という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

  • 公正証書遺言とは
  • 公証役場とは
  • 公正証書遺言の内容について
  • 証人とは?
  • 公正役場での手続きについて

 「公正証書」なんてまったく馴染みがなく、どういったものなのか見当もつかない、という方が大半だと思います。公正証書は公証役場というところで執務を行っている公証人が作成する書面です。公証人連合会のホームページによると公証役場は全国に約300箇所あるそうで、公正証書遺言は遺言者が公証役場に出向き、公証人に作成してもらいます。遺言者が病気や高齢などで公証役場へ出向くことができない場合は、公証人に病院や施設、自宅等に出張してもらって遺言を作成してもらうこともできます。

 遺言には生前に自身の遺産の承継先や承継の方法を決めて自身の希望通りの遺産承継を実現する効果とともに、相続トラブルを予防するという側面もあります。また、遺言を公正証書で作成することで、自筆証書遺言に比べ遺言が確実なものとなり、相続手続きをスムーズに行うことができます。

公正証書遺言とは

 公正証書遺言は、遺言の内容を公証人に伝え、公証人に遺言書を作成してもらう形式の遺言で、作成された遺言書は公証役場に保管されます。公証人には裁判官、検察官、弁護士、司法書士など長年法律関係の仕事をしていた人がなるため、公証人が関与する公正証書遺言は自筆証書遺言に比べて安全で確実な遺言を作成することができます。また、後述するように家庭裁判所での検認手続きも必要ありません。

 公正証書遺言の作成には管轄など地域の制限はなく、全国どこの公証役場でも作成することができます。もし病気などで公証役場に出向くことが難しいようでしたら、公証人に病院や施設などへ出張を依頼することも可能です。出張の範囲は公証人が所属する法務局の管轄地域内に限られ、例えば、横浜地方法務局所属の公証人でしたら神奈川県内に限られます。

 費用の面では、遺言の目的にする財産の価額に応じた公証人の手数料がかかり、公証人に出張してもらう場合には出張手数料や日当等が加算されます。

公正証書遺言の効果

 遺言が残されていない場合は、遺産は法定相続分という民法で定められた割合で相続されます(配偶者2分の1、子4分の1ずつなど)。民法では相続分の割合を定めているだけですので、具体的にどの財産(不動産、預貯金、有価証券など)を誰がどれくらいの割合(自宅マンションを全部、○○銀行の預金を2分の1ずつなど)で相続するか決めるためには、相続人全員で遺産分割の協議を行って合意し、遺産分割協議書を作成する必要があります。協議がまとまらない場合は最終的には家庭裁判所での調停や審判で遺産分割の内容を決定することになります。

 遺言がある場合は、これは公正証書遺言に限ったことではありませんが、相続が発生したときに遺産分割協議を行うことなく、遺言書を法務局や金融機関などに提出して相続登記や預金解約などの手続きを行うことができますので、遺産分割協議を行うのに比べてスムーズに相続手続きが可能です。

 自筆証書遺言で相続手続きを行うためには家庭裁判所による「検認」という手続きを経る必要がありますが、公正証書遺言の場合は検認の必要はありません。検認を申立てるためには被相続人の戸籍等の書類を揃えて家庭裁判所に申立書を提出しなければならず、また申立てから検認まで数週間~1か月程度かかるため、相続手続きを始めるまでに結構な手間と時間がかかってしまうところ、公正証書遺言を残していれば相続が発生してからすぐに相続手続きを始めることができます。

 また、公正証書遺言を作成すると、遺言書の正本や謄本が遺言者や遺言執行者等に交付され、原本は公証役場に保管されますので、もし紛失してしまったとしても遺言を作成した公証役場で再発行が可能で、その点でも安心です。

 もし、公正証書遺言を作成しているはずだがどこの公証役場で作ったのかわからない、公正証書遺言を残しているのかわからないが残していないか調べたい、といったような場合には、全国どこの公証役場でも遺言検索システムを利用して公正証書遺言が保管されていないかを調べることができます。

遺言書の内容

 公正証書遺言には、主に以下のような財産の承継方法に関することを記載します。

・自宅の土地建物をAに、預金をBに相続させる。

・全財産をAに相続させる。

・全財産をA、B、Cの3人にそれぞれ3分の1ずつ相続させる。

・不動産を売却して現金化し、預貯金や現金と合わせた全財産をA、Bに2分の1ずつ相続させる。不動産の売却や預貯金の解約などはCに任せる。Cの報酬は遺産の総額の〇%とする。

・全財産を社会福祉法人Dに遺贈する。遺言執行者をEとする。

・不動産Fを株式会社Gに遺贈する。

 遺言書に記載する遺産承継の内容は自由ですが、遺留分については注意が必要です。遺留分とは一定の範囲の相続人に認められている最低限保証された相続分で、遺留分は遺言によっても侵すことはできず、もし遺留分を侵害するような遺産承継が行われた場合は、遺留分を侵害された相続人は遺留分を侵害している相続人に対してその侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。

 遺留分を侵害する遺言を残すことができないわけではありませんが、後々トラブルに発展する可能性があるため、その点を考慮した上で内容を検討したほうがよいでしょう。

 また、遺言書には財産の承継に関すること以外にも、付言事項として家族や親族などに対するメッセージや葬儀に関する希望などを書くこともできます。

文案の作成について

 公正証書遺言を作るためには文案を作成する必要があります。そのためには、まず遺言者ご自身の財産の状況を把握し、それらの財産を誰にどういった形で承継させるのかを考えなくてはいけません。また、遺留分や相続税などについても考慮した上で、遺言の内容を検討したほうがよいでしょう。

 また、スムーズな遺産承継を実現するために遺言執行者といって遺言に書いてある通りの遺産承継手続を行ってもらうための人を指定したり、遺産に不動産や有価証券などが含まれる場合には、それらを換価し現金化したものを承継させるといった内容にしたほうがよい場合もありますので、文案作成の際にはまずは一度、専門家に相談することをお勧めします。

公証役場での手続き

 文案が出来ましたら、公証役場に連絡し、公証人に遺言書を作成してもらう手続きの準備を進めます。まず、公証人へ作成した文案や戸籍等の確認書類を送り、公証人のチェックを経て最終的な公正証書遺言の文案を作ってもらいます。それから、公証人、遺言者、証人の予定を調整して公証役場に出向く日を予約し、事前に公証人から伝えられた運転免許証等の必要書類や手数料を用意して予約した日時に公証役場に出向き(または公証人に出張してもらって)公正証書遺言を作成してもらいます。

 当日は公証人、遺言者、証人が揃ったところで公証人が遺言者に遺言の内容を確認し、遺言者の意図する通りの内容の遺言であることが確認できたら、同席した全員が署名押印して公正証書が作成され、公証人から遺言者へ正本や謄本が手渡されて手続きは終了です。

証人について

 公正証書遺言を作成するためには2人以上の証人の立ち会いが必要です。民法で以下にあたる人は証人になることができないと定められています。

・未成年者

・推定相続人、受遺者、推定相続人や受遺者の配偶者や直系血族

・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

 ご自身の相続に関することですので友人などには頼みづらかったりするでしょうし、推定相続人や遺言で財産を譲り受ける予定の人やその親族も証人になることができないため、意外と証人にふさわしい人を見つけることは難しかったりします。もし、証人になってくれるような人が身近にいない場合は、遺言書作成の相談をした専門職やその事務所の職員などに依頼したり、公証役場に証人を紹介してもらうことも可能です。

相続発生後の手続き

 公正証書遺言の遺言者が亡くなって相続が発生したら、その公正証書遺言の正本や謄本を使って相続登記や預貯金の解約などを行うことができます。上述のように自筆証書遺言を利用して相続手続きを行うためには家庭裁判所での検認が必要で、期間も申立てから1か月程度かかるため手間と時間がかかるのに対し、公正証書遺言の場合は相続発生後すぐに手続きを始めることができます。

公正証書遺言の作成は司法書士にご相談を

 安心で確実な遺言を残したいのでしたら公正証書遺言を作成されることをお勧めします。せっかく公正証書遺言を作成するのでしたら、ご家族ご親族のことや財産構成などをしっかりと考慮して検討し、ご自身のご意向に沿い、残された家族にとっても安心でスムーズな財産承継を可能にできるような遺言にされたいですよね。そういった遺言を作るために、そのきっかけとしてまずは司法書士にご相談してみませんか?税務面でのアドバイスが必要な方もいらっしゃるでしょうから、そのような場合は信頼できる税理士をご紹介し、相続税対策も踏まえた上での遺言書の作成をご提案いたします。もちろん、ある程度ご意向がはっきりしている段階でご相談いただいても構いません。法的な要件をチェックして整え、必要があれば気づいた点についてアドバイスさせていただきながら公正証書遺言作成の手続きを円滑に進めるサポートをいたします。

料金

公正証書遺言の作成 13万2,000円(税込)~
(内容によって変動いたします。)
相談のみ、または継続相談 5,500円/30分

※別途、公証人手数料・収入印紙・通信費等の実費がかかります。

ご相談の流れ

1. ご予約 ご予約フォームまたはお電話にてご予約ください。
2. ご相談 当事務所またはご希望の場所にてお話をおうかがいいたします。
ご相談が複数回~長期に渡ることもあります。
3. お見積り ご相談の内容を受けておおまかな費用をお伝えいたします。
(ご希望の場合は詳しいお見積りを作成いたします。)
4. 文案の作成 遺言書の文案を作成いたします。
公正証書遺言の場合は公証役場との調整をいたします。
5. 公証人との連絡・調整 公正証書遺言の作成を公証人に依頼し、文案と日程を調整いたします。
6. お支払い 費用のお支払いをお願いいたします。(現金またはお振込み)
7. 遺言書の作成 公証役場(もしくは公証人の出張先)にて遺言書を作成していただきます。

ご相談の際にご用意いただくもの

 ご相談の際には以下の書類があるとお話がスムーズに進められますが、手元にない場合は無理に集めていただかなくても構いません。

 

 ・不動産の権利関係書類(封筒やファイルなどにいろいろな書類が入った状態で構いません)

 ・固定資産税の納付書

 ・預金や株式、保険など財産の内容がわかるもの

 

 ご持参いただく書類についてご不明な点がありましたら、ご予約の際にお気軽にお尋ねください。

まずはご相談ください

 公正証書遺言の作成にはじっくりと時間をかけて取り組まれることをお勧めいたします。いざ遺言を書こうと思っても、すぐにさっと書けるようなものではありませんし、インターネットや本で遺言について調べても人によって状況が異なるため、どういった内容の遺言にするかを決めるのはなかなか難しいと思います。なんとなく気にはなっているけれども具体的には何も決めておらず、とりあえず相談したい、といったような形でも構いませんので、一度、お気軽に当事務所にご連絡ください。もし、ご病気などのご事情により急いで遺言を作成する必要がある場合には、その旨お知らせいただけましたら迅速にご対応いたしますので、ご遠慮なくお申し出ください。

 初回相談は無料です。事前にご予約いただきましたら、土日祝日や平日の遅い時間等ご都合に合わせてご対応いたしますのでお気軽にお申し付けください。

ご相談の予約やお問い合わせ
  • 初回相談は無料です、お気軽にお問い合わせください。
  • ご相談はご来所のほか、Zoom等のオンラインでのご相談も承っております。
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