認知症などに備えた財産管理の方法を考えたい

 近い将来、65歳以上の高齢者の5人に1人が発症するとも言われている認知症。社会の高齢化が進む中、他人事ではないと感じ始めている方も多いのではないでしょうか。自分や家族が認知症になってしまったら、病気や年齢による体力の低下で今までのように動けなくなったら・・・身の回りのことはどうするのか?住まいは?お金のことは?・・・心配なことがたくさんあるかと思います。

  • 認知症になるとどういう問題が考えられる?
  • 成年後見制度ってどういうもの?
  • 法定後見、任意後見の違いは?
  • 民事信託(家族信託)とはどういう制度?
 もはや全ての人にとって他人事ではなくなってきた認知症。様々な介護サービスや見守りサービス、認知症カフェのような集いの場など認知症になってもその人らしく楽しく暮らせるような社会的な取り組みも増えてきています。しかし、そういったサービスを受けたり施設に入所したりするときの契約や、ご自宅などの不動産の修繕や売却、預貯金の引き出しなど、暮らしを支える財産の管理に関しては個人個人がそれぞれ対策をしておかなければいけません。

 「成年後見」や「民事信託」といった言葉は耳にしたことがあるけれど、

  • それらが実際にどういった仕組みなのか、どういうことができるのか、ということがわからない
  • ある程度わかったとしても自分の状況ではどの制度をどういう風に利用したらよいのかわからない

といった方も多いのではないでしょうか。家族構成や財産の状況、持病など、人によって置かれている状況は様々。今後のことで気になっていることも人それぞれかと思います。自分に合った対策を考えたいですよね。

認知症になるとどういう問題が考えられる?

 認知症になって記憶力や判断力が低下すると、お金や財産に関するものだけでも以下のような様々なトラブルが考えられます。

  • 通帳やキャッシュカード、現金、保険証券など大事なものをなくしてしまう。
  • 家族がお金を取ったと言われてしまう。
  • 預金から引き出したお金の使い道を覚えていない。
  • 悪徳商法に引っかかってしまう。
  • 施設入所や介護サービス等の契約ができない。
  • 施設入所資金の捻出のための自宅の売却ができない。
  • 家族や親族が亡くなり相続人となったが遺産分割協議を行うことができない。

などなど、ご本人やご家族の心配は絶えません。

認知症によるトラブルを避けるためには

 上述のようなトラブルを避けたり対処するためにはどうしたらいいでしょうか?

 それには大きく分けて以下の2通りの方法があります。

・認知症が発症する前に自分で準備しておく

・認知症が発症した後に家族が対処する

 当然ですが、認知症になる前にご自分で準備をしておくほうが選択肢は多く、またご自身がお元気なうちに準備しておくことで、ご自身の意向やご家族の希望を踏まえた対策をしておくことが可能です。

成年後見制度について

 成年後見制度とは認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々を保護し支援するための制度で、家庭裁判所に選任された成年後見人や、本人が元気なうちにあらかじめ契約を結んでおいた任意後見人が本人に代わって預貯金や現金の管理や介護サービス、施設入所の契約などの財産管理を行います。

法定後見について

 本人が認知症の発症などで判断能力が不十分になった後に、家族や親族などが家庭裁判所に後見等開始の申立を行い、家庭裁判所が成年後見人を選任します。申立の際に後見人候補者として家族や親族、特定の専門職(司法書士や弁護士、社会福祉士)などを申立書に記入することができますが、最終的に後見人を選任するのは家庭裁判所になりますので、希望通りに後見人が選ばれない場合もあります。

 法定後見人は上述のように本人に代わって預貯金や現金の管理、介護サービスや施設入所の契約などの財産管理を行います。また、法定後見人は本人がしてしまった契約(不必要な物の購入など)を取り消すことができます。

保佐・補助について

 法定後見制度には本人の判断能力の程度に応じて「保佐」「補助」という類型があります。保佐人、補助人は成年後見人と同じく裁判所によって選任され、法律や裁判所が定めた範囲内で本人に代わって本人の財産管理や契約を行ったり、契約や遺産分割などの重要な財産上の行為について同意を行ったりします。また、保佐人、補助人は本人が保佐人、補助人の同意を得ずに行った契約を取り消すことができます。

任意後見について

 任意後見制度とは本人に十分な判断能力があるうちに、あらかじめ、本人が信頼する方と財産管理や契約ごとなどに関する任意後見契約を結び、将来自分が認知症などで判断能力が低下したときに、自分の後見人となってもらう制度です。任意後見契約は公正証書で締結し、法務局に登記され、本人の判断能力が低下すると任意後見人になる方や親族などが家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てることによって開始します。任意後見人には取消権がありませんのでその点に注意が必要で、後述する民事信託と組み合わせることで大切な財産を守ることが可能です。

任意代理(財産管理等委任契約)・見守り契約とは

 任意代理契約とは財産管理等委任契約とも呼ばれ、後述する死後事務委任契約と併せ、任意後見契約と組み合わせて利用されることの多い契約です。任意代理契約を結ぶと、まだ判断能力が衰えていなくても病気やケガ、体力の衰えなど身体上の問題で財産管理や契約などを自分で行うことが難しいといった場合に、それらの事務を信頼できる方に任せることができます。また、任意後見契約と組み合わせることによって、判断能力が衰えたときにスムーズに任意後見に移行することができます。

 見守り契約は任意後見や任意代理よりも前の段階の契約で、将来、任意後見や任意代理で財産管理を任せられる予定の方が定期的にご本人と連絡を取り合うことで、継続的に生活の様子を確認したり変わったことはないかなどの見守りを行う契約です。見守り契約を結んで定期的に面談したり、連絡を取り合って日頃気になることなどを相談したりすることによって、任意後見や任意代理を開始する前にご本人と財産管理を任せられる方との間の信頼関係を時間をかけて築いていくことができ、安心して財産管理を任せることができるようになります。

死後事務委任契約とは

 死後事務委任契約とは、ご本人の判断能力がしっかりしているうちに、亡くなられた後のお墓や葬儀のこと、入院費や入所していた施設費の支払い、遺品の整理などについて、信頼できる方にそれらの事務を委任しておく契約です。財産の管理を任せる任意代理や任意後見と併せて契約しておくことで、ご本人の状況や財産のことがわかる方に安心して死後の事務をお任せすることができます。また、併せて遺言を作成し、同じ方を遺言執行者として指名することで相続に関する手続きもその方に任せることができます。

民事信託(家族信託)とは

 不動産や現金などの財産の管理を家族などの信頼できる方に託し、託した財産の承継先も生前に決めておくことができる、財産管理と遺言的な機能を併せ持ったような比較的新しい制度です。財産管理や承継の方法についての自由度が高いためこれまでの方法では実現できなかったようなことが可能になり、場合によっては大変効果的に利用することができます。民事信託は、財産を託す側(委託者)と託される側(受託者)の契約によって効力が発生しその契約の効力が長期に及ぶことも多いため、両者がその契約内容をよく理解しておくことが大切で、設計には時間をかけてじっくり取り組む必要があります。弊所代表は民事信託士の資格を持ち、正しい信託の普及のため日々研鑽に励んでおります。また、一般社団法人「民事信託推進センター」のマンション支援信託推進委員会の委員を務め、特別な知識を要するマンションの信託に関する研究、実践にも取り組んでおります。

認知症などに備えた財産管理については司法書士にご相談を

 認知症や年齢による体力の低下は他人ごとではないと感じながらも、詳しい制度の仕組みや費用などがわかりにくく、また人によって家族親族の構成や財産の状況が違うため、どういった方法が自分にとって最適なのかがわからない・・・という方も多くいらっしゃると思います。

 まずは考えるきっかけとして司法書士に相談してみませんか?ご家族ご親族の構成をうかがったり、財産の状況、例えばご自宅の登記記録を一緒に確認したりしながらご相談をスタートし、それぞれの制度の説明やご自身の状況にはどのような制度が適しているのか、またもしその制度にデメリットがあるとしたらどういった点なのか、などをご説明しながら面談を重ね、ご自身に最適な将来への備えを一緒に考えていく、ということも可能です。もちろん、ある程度ご意向がはっきりしている段階でのアドバイスを求める、といった形でのご相談も承ります。ご自身の将来の暮らしに関するとても大切なお話ですので、十分ご納得いただいた上で手続きを円滑に進めるサポートをいたします。

料金

成年後見申立 13万2,000円(税込)~
任意後見契約書の作成 13万2,000円(税込)~
任意代理契約書の作成 8万8,000円(税込)~
見守り契約書の作成 8万8,000円(税込)~
死後事務委任契約書の作成 8万8,000円(税込)~
民事信託 約60万円(税込)~
相談のみ、または継続相談 5,500円/30分

※別途、登録免許税・公証人手数料・収入印紙・通信費等の実費がかかります。

ご相談の流れ

1. ご予約 ご予約フォームまたはお電話にてご予約ください。
2. ご相談 当事務所またはご希望の場所にてお話をおうかがいいたします。
複数回の相談も可能です。
3. お見積り ご相談の内容を受けておおまかな費用をお伝えいたします。
(ご希望の場合は詳しいお見積りを作成いたします。)
4. 必要書類の作成 必要な書類を作成いたします。
5. お支払い 費用のお支払いをお願いいたします。(現金またはお振込み)
6. 手続き 必要な手続きをいたします。
7. 手続き完了  

ご相談の際にご用意いただくもの

 ご相談の際には以下の書類があるとお話がスムーズに進められますが、手元にない場合は無理に集めていただかなくても構いません。

  • 不動産の権利関係書類(封筒やファイルなどにいろいろな書類が入った状態で構いません)
  • 固定資産税の納付書
  • 預金や株式、保険など財産の内容がわかるもの

 ご持参いただく書類についてご不明な点がありましたら、ご予約の際にお気軽にお尋ねください。

まずはご相談ください

 認知症などの備えにはご家族ご親族の状況やご希望も踏まえ、話し合いを重ねてじっくりと取り組まれることをお勧めします。元気なうちに早めに考え始めるに越したことはありません。具体的には何も決まっていないけれどまずは相談、といった感じでも構いませんので、お気軽に当事務所にご連絡ください。また、ご病気などのご事情により急いで相談し何らかの対策を行いたいなどの場合にはその旨お知らせいただけましたら迅速にご対応いたしますので、ご遠慮なくお申し出ください。

 初回相談は無料です。事前にご予約いただけましたら、土日祝日や平日の遅い時間でもご対応いたします。

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  • 初回相談は無料です、お気軽にお問い合わせください。
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