高齢化社会の進行に伴い、高齢者の財産管理に関心を持たれる方が増えています。認知症は近い将来、65歳以上の高齢者の5人に1人が発症するとも言われており、決して他人事ではありません。ご自身やご家族の将来に不安を感じられている方も少なくないかと思います。
認知症や精神障害などによって判断能力が不十分になってしまった時に、その方々の財産を守り、しっかりと管理するための制度が「成年後見制度」です。「成年後見」という言葉は聞いたことがあるけれど、実際にどういった時に利用する制度なのか、どういうことができるのか、といったことはわからない、という方も多いのではないでしょうか?
- 成年後見制度とはどういう制度?
- 法定後見とはどういう制度?
- 後見人は何をするの?
- 任意後見とはどういう制度?
- 任意後見でできることとは?
- 法定後見と任意後見の違いとは?
「成年後見」という言葉は耳にしたことがあるけれど、それらが実際にどういった仕組みなのか、どういうことができるのか、ということがわからない、ある程度わかったとしても自分の状況ではどの制度をどのように利用したらよいのかわからない、といった方も多いのではないでしょうか。年齢、家族親族の構成や関係性、財産の状況などなど、人によって置かれている状況は様々です。また、将来の心配も人それぞれでしょうから、よく理解した上で自分に合った制度を利用したいですよね。
成年後見制度の種類
成年後見制度には、家庭裁判所の審判によって開始される「成年後見」「保佐」「補助」の3つの類型に加えて、本人の判断能力が不十分になったときに本人があらかじめ結んでおいた任意後見契約に従って任意後見人が本人を援助する「任意後見」という合わせて4つのタイプがあります。
「成年後見」「保佐」「補助」は本人の判断能力の程度によって3つのタイプに分かれています。
法定後見制度とは
法定後見制度は本人が認知症などによって既に判断能力が不十分となっている場合に、家庭裁判所に選任された成年後見人(保佐人・補助人)が本人の財産管理や身上監護(本人の生活を維持するための仕事や療養看護に関する契約等)を行ったり支援したりする制度です。本人や家族、親族などが本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立て、家庭裁判所が後見(保佐・補助)開始の審判をすることによって開始します。
法定後見人には誰がなるのか?
後見人等は家庭裁判所が選任します。申立書には後見人候補者として申立人が希望する人を記入することができますが、家庭裁判所は本人の状況や候補者の適格性を考慮して後見人を選任するため、親族を後見人候補者としたとしても、親族が選ばれる場合もあれば、司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門家が選ばれる場合もあります。
法定後見人は何をするのか?
法定後見人は就任するとまずは本人の財産の状況を調査し、預貯金・有価証券・不動産・保険など全ての財産を記載した財産目録を作成して家庭裁判所に提出します。同時に、本人の収入や支出を把握して「収支予定表」を作成します。
その後は預金通帳の管理、施設費や医療費などの支払いなどの財産管理や、施設への入所契約、介護サービスの利用契約などを本人に代わって行い、1年に1度、財産や収支の状況、本人の生活状況など後見事務の報告を家庭裁判所や後見監督人に対して行います。
成年後見人の仕事は本人が亡くなるか本人の能力が回復するまで続きます。
任意後見制度とは
任意後見は本人にまだ判断能力がありしっかりしている間に、自分がこの人に任せたいと思う人と任意後見契約を結んでおき、認知症などで判断能力が衰えたときにその人に後見人になってもらう制度です。裁判所が後見人を選任する法定後見に比べ、事前に自分が後見人を任せたいと思った人と契約をしておくことによって、将来、自分の判断能力が衰えたときにその人に後見人になってもらい、財産管理や身上監護を行ってもらうことができます。
任意後見の利用方法
任意後見は上述のように本人の判断力がしっかりしているうちに後に後見人となる人と任意後見契約を結んでおき、実際に判断能力が落ちたときに家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立をすることで後見が開始します。任意後見契約書は公正証書によってする必要があり、公証役場で公証人に作成してもらいます。本人が高齢や病気などで公証役場へ出向くことが出来ない場合は、公証人に病院や自宅などへ出張して作成してもらうことができます。
任意後見人は何をするのか?
任意後見監督人が選任されて後見が開始すると、法定後見と同じく財産目録と収支予定表を作成し、任意後見監督人に提出します。その後は任意後見人は任意後見契約で定められた代理権の範囲の事務を本人に代わって行い、定期的に報告書・財産目録・資料等を任意後見監督人に提出し報告します。任意後見監督人は裁判所に対し年1回、報告を行います。
法定後見と任意後見の比較
上述のように法定後見では家庭裁判所が後見人を選任し、一度申立てると、もし本人や申立人の意向と合わないような人(弁護士や司法書士など)が後見人に選任されたとしても申立てを取り下げることはできません。その点、任意後見では本人がしっかりしている間に後見人を決めることができるため、親族や知人、気に入った専門職の方などに後見人をお願いすることができ、本人の意に沿わない後見人が選任される恐れはありません。
また、任意後見と法定後見では任意後見のほうが優先されます。任意後見契約は登記されているため、任意後見監督人が選任されていてもいなくても任意後見契約が登記されていると法定後見の申立は原則却下されます。
ひとつ注意しておきたいのが、法定後見人には取消権がありますが、任意後見人に取消権はないという点です。しかし、任意後見人も詐欺や錯誤、消費者契約法違反等による取消しは可能ですし、もし任意後見の代理権の範囲が不十分など「本人の利益のために特に必要がある」と認められる場合は任意後見から法定後見に移行することも可能です。
成年後見制度の利用は司法書士にご相談を
最近、物忘れが多くなった・・・
年齢による体力や気力の低下を感じている・・・
子や配偶者など頼りにできる親族が身の周りにいない・・・
など、将来のご自身の生活や財産管理について不安をお持ちの方も多くいらっしゃるかと思います。また、親御さんや叔父さん叔母さんなどのご親族の将来が心配という方もいらっしゃるでしょう。
成年後見という制度はなんとなく知っているけれど、詳しいことがわからない。どういった制度でどのように運用されているのか?どういった場合にどういった人が利用しているのか?費用はどれくらいかかるのか?など、インターネットや本などの情報ではわからないことも多いかと思います。
また、人それぞれ置かれている状況が違うため、ご自身の状況に当てはめた場合にどうしたらいいのか判断がつかないことも多いのではないでしょうか。
もしそういったことにお悩みでしたら、まずは考えるきっかけとして司法書士にご相談してみませんか?ご本人はもちろん、ご家族ご親族の状況や、ご希望ご意見等を伺い、ご不明な点についてわかりやすい言葉でお伝えし、アドバイスやご提案、必要な手続きのサポート等をいたします。もちろん、ある程度ご意向がはっきりしている段階でアドバイスや手続きのサポートをしてほしい、といった形でのご依頼も承ります。
料金
成年後見申立 | 13万2,000円(税込)~ |
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任意後見契約書の作成 | 13万2,000円(税込)~ |
財産管理等委任(任意代理)契約書の作成 | 8万8,000円(税込)~ |
死後事務委任契約書の作成 | 8万8,000円(税込)~ |
見守り契約書の作成 | 8万8,000円(税込)~ |
相談のみ、または継続相談 | 5,500円/30分 |
※別途、公証人手数料・収入印紙・通信費等の実費がかかります。
ご相談の流れ
1. ご予約 | ご予約フォームまたはお電話にてご予約ください。 |
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2. ご相談 | 当事務所またはご希望の場所にてお話をおうかがいいたします。 ご相談が複数回~長期に渡ることもあります。 |
3. お見積り | ご相談の内容を受けておおまかな費用をお伝えいたします。 (ご希望の場合は詳しいお見積りを作成いたします。) |
4.ご契約・着手金のお支払い | 委任契約を締結し、着手金のお支払いをお願いいたします。(現金またはお振込み) |
5.必要書類の作成 |
必要な書類を作成いたします。 |
6. お支払い | 費用の残額のお支払いをお願いいたします。(現金またはお振込み) |
7.手続き |
家庭裁判所への後見申立書の送付、公証人との調整など必要な手続きをいたします。 |
8.手続き完了 |
ご相談の際にご用意いただくもの
ご相談の際には以下の書類があるとお話がスムーズに進められますが、手元にない場合は無理に集めていただかなくても構いません。
・不動産の権利関係書類(封筒やファイルなどにいろいろな書類が入った状態で構いません)
・固定資産税の納付書
・預金や株式、保険など財産の内容がわかるもの
ご持参いただく書類についてご不明な点がありましたら、ご予約の際にお気軽にお尋ねください。
まずはご相談ください
成年後見制度のご利用はご本人をはじめ、ご家族ご親族が制度を理解し、それぞれの状況やご希望も踏まえた上でしっかりと検討をされることをお勧めします。
・なんとなく必要性を感じているけれどまだ具体的に何も考えていない
・もう既に困っている状況にあってどうしたらいいかわからない
・成年後見に関心があり、ある程度調べてみたけれど、いまいちよくわからない
などなど人によって状況は様々だと思いますが、まずは相談、といった感じで構いませんので、お気軽に当事務所にご連絡ください。また、ご病気などのご事情により急いで何らかの対策を取りたいなどの場合にはその旨お知らせいただけましたら迅速にご対応いたしますので、ご遠慮なくお申し出ください。
初回相談は無料です。事前にご予約いただけましたら、土日祝日や平日の遅い時間でもご対応いたしますのでお気軽にお申し付けください。